2014年7月7日月曜日

プリンスリーグって知ってます?

■若い選手にレベルの高い経験を
日本を含めた世界各国のプロサッカー界には、ふたつの対戦形式があります。ひとつはホーム&アウェー方式での総当たりとなるリーグ戦形式、そして一発勝負型のトーナメント方式です。W杯はその両方をミックスしたもので、まず4ヶ国総当たりで上位2チームを決め、そこからトーナメント形式へと移行します。なぜこんな方法を採用するかと言うと、仮にW杯がトーナメント方式のみで運営された場合、初戦を終えた段階で半数の国が大会を去ってしまうから。せっかく本大会までたどり着けてもひとつの敗北ですべてが潰えちゃうわけです。これじゃあ参加国にも申し訳が立たないし、何より大会が盛り上がらない。「リーグ方式を取り入れれば、最低でも3試合はできる」「でも開催期間は限られているのでトーナメント方式も」ということから、このミックス型と相成ったわけです。UEFAチャンピオンズリーグなども同じ方式ですね。

前置きが長くなりましたが、一発勝負型のトーナメント方式と違い、リーグ戦は運営期間が年間単位と長いものにはなりますが、シーズンを通じたチームの安定感というもの推し量れますし、何より選手の実力を伸ばす実戦経験をより多く積むことができます。ホーム&アウェー型で10チームが参加するリーグならば、18試合は経験できるわけです。経験が積めて伸びしろが期待できるという意味で言えば、小さい子どもから学生まで若いプレーヤーにはうってつけの形式と言えます。

実は日本には、プリンスリーグという18歳以下のプレーヤー(高校生など)のためのリーグ戦が存在します。正式名称は「高円宮杯(たかまどのみやはい)U-18サッカーリーグ プリンスリーグ」。北海道・東北・関東・北信越・東海・関西・中国・四国・九州のエリアごとに催されるリーグで、高校サッカー部とJリーグクラブのユースが総当たりするリーグ戦なのです。

18歳以下という年代で有名なサッカーの大会と言えば、全国高校サッカー選手権大会でしょう。いわゆる“冬の高校サッカー”と言われるもので、聖地・国立競技場を目指して高校生がピッチを駆け回る姿をお正月のテレビで観たことがあるという人もいらっしゃるでしょう。各都道府県での地区予選から本大会まで、一発勝負のトーナメント方式で運営されています。


■日本サッカーの強化に直結する活動

非常に歴史の長い有意義な大会ではありますが、いわゆる一発勝負で勝敗が分かれてしまうため、せっかくの貴重な経験の場にもかかわらず、一試合で大会を後にする学校が半数にも及びます。また、参加資格は高校サッカー部ということで、プロ予備軍でもあるJリーグクラブのユースチームは参加できません。

もっとも多くのことを吸収できる年代がたった一試合でチャンスを奪われるというのはいかがなものか。ならば、異なる環境でプロ予備軍として育成されているユースも交え、多くの経験が積めるリーグ戦形式を実施しよう——。プリンスリーグ構想は、そんな発想から生まれました。

知名度はないけれど“ダイヤの原石”がひしめき合うプリンスリーグ。残念ながら冬の高校サッカーほどの注目度は集められていませんが、こうした地域密着型の活動が若い芽を着実に育て、ひとり、またひとりプロへの階段をあがっていっています。今の日本代表にも、このプリンスリーグで育てられたという選手がいるのです。

地道でも着実な育成に注力することで、よりスケールの大きな選手が生まれ、日本サッカーの土台が分厚くなり、ひいては日本代表チームを盤石なものとしていく……。“日本サッカーを育てる”“日本サッカーを強くする”ためには、こうした活動にスポットライトを当て、それぞれの地域の人がサポートしていくことでより高い頂へと選手を送り出していかねばなりません。メディアがこうしたところを取り上げることも、強化を手助けすることにつながるのだと思います。

このプリンスリーグの上には「プレミアリーグ」というものがあり、プリンスリーグの成績上位のチームが東西のエリアに分かれて戦う上位リーグです。そして東西のチャンピオン同士で行なわれるチャンピオンシップで雌雄を決し、シーズンチャンピオンを決めるというもの。

ご興味がある方はぜひ、プリンスリーグの情報に目をやってみてください。もしかしたら地元の高校やクラブユース、また地元出身の選手がリーグで活躍しているかもしれませんよ。
 
>> 高円宮杯U-18サッカーリーグ プリンスリーグ
 

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