2015年8月12日水曜日

クルマを凶器に変える「ながら運転」が東京都内で続発中!

■増えている都内の死傷事故
先日、自動車免許の更新にて、都内の免許更新センターへ行ってきました。違反があったため2時間の講習付きでしたが、おかげで非常に興味深い講義を聞くことができました。昨年(平成26年/2014年)と一昨年(平成25年/2013年)の交通事故の統計がまとめられた『安全運転のしおり』というものが配られ、その内訳が現代の交通環境を浮き彫りにしていたのです。

日本全国の統計を見ると、「発生件数」「死者数」「負傷者数」ともに減少しているようですが、これが東京都内に限定されると様相が変わります。

■東京都内での交通事故 (警視庁調べ)
[発生件数](件)
平成26年:37,184
平成25年:42,041
マイナス 4,857

[死者数](人)
平成26年:172
平成25年:168
プラス 4

[負傷者数](人)
平成26年:43,212
平成25年:48,855
マイナス 5,643

事故の発生件数および負傷者数が減少しているにもかかわらず、死者数が微増しています。ここから推測できるのは、死傷する確率の高い凶悪な交通事故が増えているということでしょう。「死亡事故の状態別」と「車両による違反別発生状況」を見比べると、より具体的な傾向が見えてきます。

■死亡事故の状態別 (警視庁調べ)
1位:歩行中 (死者68人/39.5%)
2位:二輪車乗車中 (死者45人/26.2%)
3位:自転車乗用中 (死者38人/22.1%)
4位:自動車乗用中 (死者21人/12.1%)
※「自動車乗用中」の21人のうち7人はシートベルト未着用

■車両による違反別発生状況 (警視庁調べ)
1位:前方不注意 (死者27人/19.3%)
2位:運転操作誤り (死者24人/17.1%)
3位:安全不確認 (死者19人/13.6%)
4位:歩行者妨害 (死者17人/12.1%)
5位:信号無視 (死者15人/10.7%)

「死亡事故の状態別」1位の歩行中について、被害にあった歩行者が交通違反(信号無視や横断違反、酩酊徘徊など)をしていたかどうかの統計では、68人中38人が「違反なし」とダントツの1位で、落ち度のない歩行者が被害にあっているケースがほとんどということ。ちなみに現時点(8月現在)ではすでに死者数が100人に及んでおり、東京都内の今年度(平成27年/2015年)の交通事故死者数は200人近くになる見通しだとか。

これほど多くの死者を出す前方不注意事故を引き起こしている要因は……そう、「ながら運転」です。


■統計が指し示す“明日は我が身”
携帯電話やスマートフォンといったデバイスを操作しながらの運転を指す「ながら運転」。以前交通法規が厳しくなり、イヤホン等を用いない携帯電話での通話や操作をしながらの運転は罰則対象となりました。が、これは現行犯逮捕が基本で、極端なことを言えば「警察官の目にとまらなければ罰則を受けない」わけです。

多くの方がご存知のとおり、街ゆくクルマを見ると、この「ながら運転」をしている人は数多くいます。「ながら運転」がすべての死傷事故を引き起こしているとは言いませんが、携帯電話を操作していれば前方なんて見ているはずがありませんし、当然急なアクシデントに対応するブレーキも間に合いません。そもそも気づくのが遅いわけですから、ともすればノーブレーキで歩行者に追突しているケースもあることでしょう。一定のスピードで走るクルマがノーブレーキで突っ込んできたら……想像するだに、身の毛がよだちます。

私も日常的にクルマを運転していますが、走行中に携帯電話を触ることはありません。専用イヤホンは使っていませんので、運転中にかかってきた電話には出ません(あとで掛け直せばいいだけのこと)。たかだか一回の電話に出ないぐらいで疎遠になるような人はご免被ります。どうしても操作せねばならないときは、一旦停車できるところにクルマを停めて、ハザードを点灯させて操作するようにしています。

クルマで走っていると、フラフラと不安定な動きをするクルマに遭遇することが珍しくありません。運転席に目をやると、携帯を手にもって電話していたり、スマートフォンを操作しているのがほとんど。そういうときは、軽くクラクションを鳴らしてやります。そうすると大抵のドライバーはびくっとして、そそくさと操作の手を止めます。「びっくりするぐらいなら最初からやるなよ」とは思いますが、そのドライバーのせいでその後引き起こされていたかもしれない事故を未然に防げたからヨシとしよう、と思って溜飲を下げているのです。

「ながら運転」をしているドライバーを見ていつも思うのは、“クルマは凶器。使い方次第で人を殺せる”という意識の低さです。

ほんの何秒の見落としで、人の命を奪えるのがクルマという乗り物です。携帯電話の操作という、普段なんてことない行動が引き金となり、取り返しのつかない事態を引き起こし、そして後戻りのきかない重荷を一生背負うことになります。それを想像するだけで、たとえ仕事のことであっても電話に出ないことなんてなんてことありませんし、クルマを停車させて操作するその時間も手間も惜しくありません。

こうした統計が現代の交通状況を指し示していることを考えると、まさに、明日は我が身。ドライバーの皆さん、決して他人事とは思わず、人命を尊重するという観点で運転するようにしましょう。

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