2015年8月2日日曜日

北朝鮮に敗れた夜に見えたもの、それは……「伸びシロですね〜!」

【東アジアカップ2015】 男子サッカー日本代表 第一戦
vs 北朝鮮 2015/08/02 @ 武漢スポーツセンター
スコア:1-2●


■2006豪州戦の再現かのよう
試合後の選手たちの表情は、まるでお通夜に参列している人のようでした。自分らなりの精一杯を出し尽くした結果の敗戦だったからでしょう、文字どおりの完敗。疑問を抱くジャッジもいくつかありましたが、これが初めてのアジアでの試合ってわけじゃないし、今の日本にとってはそれも折り込み済みで挑まなければならないでしょう。

非常にフレッシュなメンバーで始まったこの試合、新顔が多いということは、反面チームとしての連携力や熟成度に期待はできません。つまり、個々の能力がそのまま反映される試合になるわけです。普段のJリーグでのプレーの質がどれほどのレベルか、北朝鮮という相手に推し量られたのです。

結果から見えたこと、それは「先制しながら逃げ切れなかった」こと。開始間もない先制点の効果もあってか、前半途中までの日本は効果的にボールをつなぎ、何度も北朝鮮ゴールに迫っていました。つまり、熟成度合いが低くてもある程度のレベルの相手には通用する高いスキルが照明されたと言っていいでしょう。

しかし、ロングボールを放り込まれてのパワープレーは、Jリーグでは滅多に遭遇しない荒々しい戦い方。なぜならば、同じ日本人同士のJリーグでそんな強攻策をとるチームは滅多にないからです。ここまで極端な戦い方をする北朝鮮を相手に、日本の選手の戸惑いぶりは手に取るように感じました。

結果、相手の巨漢FWにしてやられての逆転負け。まるで2006年ドイツW杯の初戦オーストラリア戦の再現かのようでした。


■日本のアベレージはJリーグ
90分間を通してのマネージメント能力の低さはもちろんですが、なかでも浮き彫りになったのは、守備の脆さ。これはハリルホジッチ監督も痛感したことでしょう。パワープレーに対抗する空中戦の弱さに加え、こういうプレーを仕掛けてくる相手への措置(キッカーへのプレッシャーやコースの切り方)もお粗末。Jリーグではなんとかなることが、国際試合ではなんともならない。そのまま結果に映し出されましたね。

セカンドボールへの対処も後手後手でした。ああもマイボールが落ち着かないと、選手の疲労は倍増します。そう、ボールを追いまわす守備は体も心も疲れるのです。攻撃に転じるためのボールポゼッションを高める守備を再構築せねばならない時期なんだなぁ、と感じさせられました。

代表チームがどういう戦い方をするかは監督次第ですが、スペインやブラジル、ドイツ、アルゼンチンには遠く及ばないわけですから、まず守備の練度を上げることが最大の課題でしょう。まず敵の攻撃を防ぎ、ボールを奪うこと。予選の真っ最中であること、そして本大会までの期間がほとんど残っていないことを考えると、バックアップメンバーを含めた少数精鋭での守備構築(理解度を高める作業)が不可欠だと思います。

と、気持ちいいぐらい膿みが出た今回の試合。「海外組が出ていたら勝てたかも」と思われるかもしれませんが、それは大きな間違い。常時合流できるわけではない彼らはあくまでオプションであり、海外組を基本軸として考えるのはチームマネジメントという観点から見ると極めて危険なもの。日本代表のアベレージはJリーグなのです。


■チャレンジャーへの回帰が必須
個人的には、大変有意義な試合だったと思います。なぜならば、何の影響もない東アジアカップという大会での試合だったから。これがW杯予選の試合だったら大問題。予選中に軌道修正を図らねばならないという、1998年フランスW杯予選での惨状再び、となるからです。

だから、敗戦後にお通夜の参列者のような顔になっていた選手たちが不思議で仕方ありませんでした。

「勝てると思っていたの? 自分たちが強いと思っていたの?」

W杯に連続出場をはたしていることで、W杯に出場することが当たり前のように思われていますが、それはW杯への敬意、そしてこれから対戦する国の代表チームへの敬意を欠いていることに他なりません。特に昨今のアジア諸国ではサッカーのレベルが次第にあがってきており、なかにはトップクラスに追いつかんとする国が現れつつあります。「俺たちは王者だ」などと驕り、あぐらをかいていると確実に痛い目に合わされることでしょう。

今回の敗戦でもっとも厳しいことをひとつ言わせてもらうならば、「決めるべきところで決める」ということでしょうか。これは国際試合のみならず、彼らが日常のフィールドとしているJリーグでも同様。普段と違う雰囲気のなかでのプレーであれ、最低限の仕事をこなすのがプロフェッショナル。名前を挙げずとも本人らは分かっているでしょう、今回の責任の重さを。

ここまで堕ちたのですから、あとは這い上がるのみ。いくつもの課題をあげましたが、それもレベルアップするための具体策を生む貴重な財産です。すべてはより高いレベルにあがっていき、大きな喜びを手にせんがため。

つまり今回の敗戦で吐き出されたものすべて、それは「伸びシロですね〜!」ということでしょう!

0 件のコメント:

コメントを投稿