2015年8月14日金曜日

え? サッカー日本代表のことを強いと思っていたの?

■元々強くなかった日本代表
サッカー日本代表への風当たりが厳しいですね。東アジアカップでの惨敗がもっとも大きかったのでしょう、最下位という結果はもちろん、「え? これがあの日本代表?」という試合内容に、アジアのトップクラスとも言われた国の面影すら見えませんでしたから。「海外組さえいれば……」、そんな声もチラホラ。

でも、考えてみてください。

確かに、強かったチームが一気に弱体化すること自体は珍しくありません。ただ、たったひとりで試合を決めてしまえるクリスティアーノ・ロナウドがいないポルトガルでも、あそこまでチームとしての体を成さないほど崩れることはありません。本田圭佑がメッシ級のレベルでチームを牽引していたわけではなく、世界と伍するうえで必要なレベルの選手を安定供給してきたことが、ワールドカップ5大会連続出場という実績につながっているのです。

グループリーグ最下位で敗退した2014年W杯ブラジル大会、ベスト8で涙をのんだアジアカップ、そして屈辱の最下位という結果に終わった東アジアカップ。ここ2年間における国際大会での結果は散々なもの。それ以前はアジアでの大会で好成績をおさめ、2010年W杯南アフリカ大会でもグループリーグを突破しベスト16に上り詰めるなど、輝かしい実績が目につきます。

とはいえ、2010南ア大会での快進撃は大会直前での大幅な戦術変更(守備偏重のカウンターサッカー+本田圭佑の1トップ起用)によるラッキーパンチ的な意味合いが強く、実力で勝ち上がった印象は皆無。あれで「俺たちは強い!」と思っている選手やサポーターがいるようなら、勘違いも甚だしいと申し上げたいです。

確かに、海外トップリーグのクラブに戦いの場を求める日本人選手が増え、ヨーロッパで活躍する海外組は以前と比べものにならないほど多くなりました。結果、そうした日本のエリートレベルの選手で形成された代表チームは高いレベルを保っていたものの、一時的にしか招集できない代表チームゆえ、チームとしての熟成度は高くありませんでした。結果、個々の力に頼らざるを得ないまま望んだブラジルの地で完膚なきまでに叩きのめされ、年々レベルアップしているアジアでも通用しないという事実まで突きつけられたのです。

元々、強くなかったんです。


■日本代表を強くする方法、アリマス。
10月13日に敵地でイランとの親善マッチが決まったというニュースがありました。これから再びW杯予選を戦う日本代表にとって、アジア屈指の国と、しかもアウェーで戦う意義は決して小さくありません。

ただ、こんなものは強化とは言いません。

日本サッカー界をピラミッド構造で見た際、日本代表チームは頂点です。つまり選りすぐりのエリートたち。そこに強化策を用いても、底辺の強化にはなりません。代表メンバーにレベルアップの機会を与えて「お前たちが底辺の選手を引き上げるんだ」というのは、ただの無茶ぶりに他ならないのです。それも、批判を収束させるさせるための親善マッチ一試合ぐらいで。

さらに、このイラン戦に海外組が招集されでもしたら、それこそ目も当てられません。私は、ハリルホジッチが海外組を呼ぶものと思っています。彼は雇われた傭兵で、結果を求められる立場にあります。「日本人選手の育成」という項目が契約書にないのですから、「たとえ負けても強化につながれば」と考えているわけがない。はっきり言って、こんな試合は無意味です。

「僕ら、ちゃんと強化のことを考えていますよ」と言いたげな日本サッカー協会ですが、実に浅はか。本当に日本サッカーの未来を憂いているなら、Jリーグの各カテゴリーへの強化対応があるべきでしょう。

ファンも同様です。

「ハリルホジッチは無能」、「Jリーグのレベルはこんなもの」、「使えない選手は呼ぶな」というのは、浅はかなサッカー協会と大して変わりません。「あれほど強かった日本代表が、こんなに弱くなるなんて」という幻想が、そうした発言や考え方を生み出しているのです。

「じゃあ、日本代表を強くする方法はあるのかよ!?」

ええ、ありますとも。


■今こそ日本人指揮官の起用を
日本人監督の起用と、Jクラブによるハイレベルな外国人選手の獲得です。

まず日本人監督の起用については、「Jリーガーの実力と顔&名前がすぐに一致する」、「日本人として選手強化に寄与してくれる」、「選手とのコミュニケーションがスムーズ」、「次の日本人監督へ引き継ぎやすい」など、メリットは豊富。一方でデメリットは、「国際大会での経験が乏しい」、「日本人体質から“村社会”的な悪循環に陥る」ことでしょうか。

山口素弘、名波浩、相馬直樹といった1998年W杯フランス大会出場メンバーが今、指揮官としてJに登場するシーンが増えてきました。もうあと何年かすれば、2002年日韓大会、2006年ドイツ大会経験者が登場してくるものと思います。海外クラブ所属経験者が出てくれば、もう「国際経験が乏しい」とは言えなくなるでしょう。

そこまで引き継げる人物が必要なのです。

それも、目先の結果を求めるだけの起用ではなく、その先にはサッカー協会に残って強化委員長や重要なポストに就いてもらうことが前提の起用です。そうすれば、代表チームのコンセプトや強化方針、日本サッカーの原型が次の世代へと引き継がれ、盤石な強化へとつながっていくからです。

私が推したいのは、西野朗氏。現名古屋グランパスの監督で、柏レイソル、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸で指揮をとった経験があり、歴代1位であるJリーグ監督通算勝利数257勝(2014年末時点)という実績を持つ人物。さらに1994年から1996年にかけてU-23日本代表の監督を務め、28年ぶりとなった男子サッカーオリンピック出場権獲得、そして本大会では優勝候補のブラジルを破る“マイアミの奇跡”を成し遂げました。現在、御年60。どうしてもっと早いうちから彼を起用しなかったのか憤りさえ覚えるほどですが、過ぎ去った時を嘆いても仕方ありません。

経験豊富な彼こそ、今の日本代表が必要としている人物のはず。性急に結果を求めるのではなく、中長期的な強化策を立て、日本サッカー協会が彼を守り続けること。そして彼から次の日本人指揮官へと引き継いでいければ、日本サッカーの原型が生まれてくるに違いありません。





■本気の強化に取り組めるか否かの瀬戸際
優良な外国人選手の起用も不可欠。強化すべきは日本代表ではなく日本サッカーそのもので、すべての基盤となるJリーグそのもののレベルアップは不可欠。東アジアカップで浮き彫りになったのは、Jリーガーの経験値の低さと追いつめられた状況でのメンタルの弱さ。ここに打ち込むべきカンフル剤は、日常でもあるJリーグで「まるで歯が立たない」「でも勝たねばやられる」という現実を見せつけてくれるトップクラスの選手の存在。

ストイコビッチやレオナルド、ジョルジーニョ、ブッフバルト、ドゥンガ、スキラッチといったビッグネームがひしめき合う1990年代後半のJリーグはまさに群雄割拠とも言える様相を呈し、強烈な個性を持ったJリーガーを輩出するうえで大きな役割を果たしました。今とは経済状況や環境が異なるとはいえ、Jリーグには過去にこうした実績があるのですから、今一度構造を見直すべきだと思います。

「それができるなら、誰も苦労せんわい」

おっしゃるとおり。でも、それをやらなければならない現実を、東アジアカップで突きつけられたのだと思うのですが、いかがでしょう。

1 件のコメント:

  1. はじめまして。キャプテン翼がなかったら、日本全体のサッカーレベルは違っていたでしょうね。
    懐かしい映像見つけました。森保監督やカズさんがA代表の頃です。
    https://youtu.be/KmMZ3SvX8BA

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