2014年6月8日日曜日

大会後の4年間を決めるワールドカップ優勝国はどこだ

ブラジル、イタリア、ドイツ、アルゼンチン、イングランド、ウルグアイ、フランス、スペイン。これらはワールドカップ優勝経験を持つ国です。ここ何大会かで初優勝国が2つも登場しましたが(1998年フランス、2010年スペイン)、現在204の国と地域が参加する世界屈指のスポーツイベントであるワールドカップにおいて、優勝経験を持つのはわずかに8ヶ国だけなのです。ちなみにイングランドが優勝したのは1966年と半世紀前、ウルグアイの優勝も1930年と1950年とずいぶん前。つまり、半世紀近くもワールドカップで優勝する国というのは、ブラジル、イタリア、ドイツ、アルゼンチンのいずれかだったというわけですね。

またワールドカップ優勝国は、必ず開催国がある大陸のなかから現れると言います。2002年日韓大会(優勝はブラジル)、2010年南アフリカ大会(優勝はスペイン)と、いわゆる“第三世界での開催”はイレギュラーとして、1986年メキシコ大会ではアルゼンチンが、1990年イタリア大会では西ドイツ(現ドイツ)が、という感じです。

結果論ではありますが、ワールドカップが終わってみると、優勝トロフィーを掲げている国というのは大きく予想から外れたりはしていないもの。大抵「ああ、やっぱりね」、「うん、まぁ彼らなら優勝できるよね」という感じで幕を引くことが多いです。余談ですが、2010年南アフリカ大会のとき、ベスト4が出そろったときに勤めていた会社で「どこが優勝するか!?」という賭けをし、ほとんどがスペインまたはオランダに賭けるなか、僕ただひとりウルグアイに票を投じました。「せっかくなんだから、“ええー! まさかここが!?”って国が優勝した方が面白いやん」という理由からです。ジャイアントキリングこそフットボールの醍醐味ですからね。

そんな大物食いを楽しみにワールドカップを観戦するものの、上記のとおり、終わってみれば本命または対抗が優勝トロフィーを手にしています。前回大会のスペインは初優勝でしたが、チームのベースとなっていたのは当時最強のクラブチームだったFCバルセロナ。サプライズというほどの結果ではなかったと思います。

「優勝するのは本命どころ」、「開催国の大陸から優勝国が出る」というワールドカップのヒストリーにならって、個人的に優勝国を予想してみるとすると……。

【本命】ブラジル
【対抗】アルゼンチン
【大穴】ドイツ

うーん、無難すぎ(笑)。かなり真面目に予想すると、こんな感じになっちゃうんじゃないでしょうか。国のレベルによってワールドカップへの挑み方はかなり違います。日本ぐらいのレベルだと、まずはグループリーグの3試合への対策でいっぱいいっぱいですが、優勝経験者しか持ち得ない“勝者のメンタリティ”を有する国は、決勝戦までの一ヶ月におよぶ長丁場での戦い方を想定したチームづくりをしてきます。当然「世代交代がうまくいっているか」、「選手層は分厚いか」、「土壇場で踏ん張れるメンタルが備わっているか」という要素は必要ですが、“優勝した経験を持つ者”と“そうでない者”のあいだにある隔たりは、想像している以上のもの。本田や長友が「ワールドカップで優勝する」と言ってくれるのは頼もしい限りなのですが、カンタンなことではないのもまた事実。

本命はやはりブラジル。王国であり開催国でもあるゆえ、これまで入念なチームづくりが図られてき、成熟のときを迎えたという印象です。各ポジションを見てもワールドクラスの選手が顔を並べており、盤石とも言える状態にあるよう。懸念されるのはワールドカップ反対の暴動。自国開催にもかかわらずネガティブな声が聞こえるというのは小さくないマイナスイメージですが、1998フランス大会のときのように、勝ち上がっていけば国内の雰囲気も変わってくるんじゃないか、とも。

対抗は悩みましたが、やはりアルゼンチンか。メッシ、アグエロ、イグアインを要し、マスチェラーノやディ・マリアらが中盤を引き締める陣容はまばゆいばかり。特に前線の3人は、2002日韓大会で優勝したブラジルの3R(トリプルアール/ロナウド、リバウド、ロナウジーニョの3FW)をほうふつさせます。今大会にかけるメッシの意気込みも相当なものと聞きますし、南米開催で彼らが奮起しないわけがない。

大穴といったら失礼ですが、南米開催ながらこれまでの定説に風穴を空けてくれることを期待してドイツ押し。ここ数年のブンデスリーガの飛躍は目覚ましいものでしたが、ラーム、シュバインシュタイガー、クロース、ポドルスキー、ゲッツェ、ロイス、エジル、ノイアーといった国産選手の成長がそれを支えていたと言っていいでしょう。鉄板ではありますが、今のドイツサッカーはかなりスペクタクルなものに仕上がっていますからね。

そして、優勝国以上にワクワクしてしまうのがダークホースとして躍動する国の存在です。「ワールドカップをかき回して欲しい!」という個人的欲望から言えば、期待をしているのはベルギー、コロンビア、クロアチアあたりでしょうか。特に若くて勢いがあるベルギーには、ベスト4ぐらいまで突っ走ってきてもらいたいところ。1994年アメリカ大会のスウェーデン、1998年フランス大会のクロアチア、2002年日韓大会のトルコ、2006年ドイツ大会のポルトガル、2010年南アフリカ大会のウルグアイと、フレッシュなダークホースは大体ベスト4まで勝ち残っているもの。個人的には「そのまま優勝しちゃえ!」とか思ったりしますが(笑)。

得点王争いも興味深いポイントですね。近年は“9番的ストライカー”と呼ばれる人種が減少傾向で、ドイツやスペインなどのように“ゼロトップシステム”という古典的なフォワードを起用しないチームが増えてきています。そんななか、誰が得点王に輝くのか。ちなみに優勝国から得点王が生まれたのはここ数十年で一度きりで(2002年日韓大会のロナウド/ブラジル優勝)、優勝候補国にも有能なストライカーはいますが、ロナウド(ポルトガル)やカバーニ、スアレス(ともにウルグアイ)、ファルカオ(コロンビア)、ジエゴ・コスタ(スペイン)、バロテッリ(イタリア)など注目度の高い選手がずらり揃っています。1994年アメリカ大会のサレンコ(ロシア)みたいな意外性のあるストライカーの出没があると、大会も一気に盛り上がりそうですね。

大会を制する国の戦い方が、その後4年間のトレンドをつくるとも言われています。優勝国予想をしつつ、本大会観戦時は各国の試合展開を楽しみたいと思います。

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