2014年6月30日月曜日

日本代表のお出迎えシーンが素晴らしすぎて

■同じGL敗退国との対比がスゴすぎる
先週、ブラジルから帰国の途についたザッケローニ監督率いる日本代表の姿を報道で見ました。辞任を表明されたザッケローニ監督は比較的にこやかな表情でしたが、選手やその他スタッフはみな重苦しい表情。そんな彼らを、数百人とも言われるサポーターが労いの言葉とともに出迎えていました。

いやスゴい。ただただ感心しました。

「呆れたんじゃないの?」と言われそうですが、とんでもない。これはスゴいことだと素直に感心したのです。聞けば、同じくグループリーグで敗退したイタリア代表なんて出迎えは皆無、イングランド代表にいたってはおばあさんひとりというニュースも。さすがに腐ったトマトを投げつけられるという暴挙はなかったようですが、強豪国ともなると最低限のノルマ(GL突破)が果たせなかっただけでこの待遇です。「敗者には何もやるな」というとある国の言葉が重くのしかかっているかのよう。

翻って我が国は、何も知らずに見れば「え? 日本ってW杯で優勝したの?」ってぐらいのフィーバー。4年前の南アフリカ大会から関西国際空港に帰国した際は3000人とも言われる人が出迎えたと言われますから、ある意味その人数を基準とするなら成績が反映されているようではありますが……。

何が感心したって、あの暖かく手厚い出迎えっぷりです。ええ、選手は相当堪えたでしょう。別に腐ったトマトや水をかけてほしいなどとは思ってはいないでしょうが、「GL突破はノルマ。4年前のベスト16を上回る成績を」と掲げ、まるでアイドルのコンサートかと思うような華やかな壮行会まで催して旅立ったわけですから、当然それに比例するぐらいの反発やバッシングは覚悟していたはず。帰りの飛行機は相当重苦しい雰囲気に包まれていたでしょうね。

ところがゲートを出てみれば、「お疲れさま」「ありがとう」という言葉とともに手厚い歓迎ムードが。確かに今回の不振は日本サッカー協会を元凶とする大失策が原因だったわけですが、天狗になった選手にも責任がないわけではありません。が、それにしても……。これはもう“誰も出迎えない“以上のヒドい仕打ちだなぁ、と思ったわけです。

おそらく出迎えた数百名のファン(こう呼びます。あえてね)の方々は、選手の姿をひと一目みたいという想いから、何の嫌みもなく成田空港まで駆けつけたのでしょう。ええ、“嫌みがない”ことが最大の悪意だと思うわけです。要するに“一方的な愛情の押しつけ”で、選手の心情は一切考慮していない。暖かい声援がこれほど身に染みる冷たさを秘めているとは。僕が選手の立場だったら、「これ以上の屈辱はない」と悔し涙を流していることでしょう。狙ってやっているわけじゃないところが“天然”で、コミュニケーションはかれないレベルです。

■楽しみになってきた“これからの4年間”
「だって、あなたたちがこういう雰囲気を望んだんでしょう? だから私たち、駆けつけたのよ」

いやもう、そのとおり。ファンの皆さんは圧倒的に正しい。4年間ロクな強化プランやスケジュールも立てず、2010年南アフリカ大会時のメンバーのレベルアップ“だけ”に頼った代表チームをしっかりと支援しなかった日本サッカー協会の方針の結果です。

別にいいと思うんです。協会のビッグスポンサーである某飲料水メーカーのCMにザッケローニ監督(炎なる缶コーヒー)に本田(スポーツドリンク)、長友、岡崎、清武(ビール)らが出て副収入を得ることぐらい、世界のどこでもある話。C.ロナウドやメッシだってそうして副収入を得てセカンドキャリアに備えています。

そうしてファン層の拡大を狙い、人気を高めて新しい世代とともにマーケットを大きくしていく……ビジネスとして見ればまっとうな考え方でしょう。一部のコアな層だけを見ていても、収支のバランスが悪くなるだけですからね。自社ビルを持ち、ミュージアムなるものをそのなかに併設するなど大きなお金を動かさねば維持できないほど肥大化した日本サッカー協会です、綺麗ごとをのたまって身を滅ぼされるよりも、よほど日本代表(性別および年代関係なく)にとってより良いこととなるのでしょう。

強豪国ならね。

優勝経験もなければベスト16以上の成績をおさめたこともない国は、強豪国とは呼ばれません。良く言えば発展途上国ですが、今回の結果(1分け2敗のGL敗退)だけを見れば弱小国です。アジア勢が軒並み敗退していることもあり、「ああ、レベルの低いアジア枠だからW杯まで来れたんだねぇ」という蔑みの目で世界から見られている。それが今の日本です。

そんな弱小国で「お疲れさまー!」の声援……。特に海外クラブに所属している選手にとったら、拷問レベルの仕打ちです。所属クラブに戻ったとき、仲間からどんな目で見られることやら。ああ、想像するだに恐ろしい。

とまぁ皮肉たっぷりにまとめてみましたが、個人的に興味深いのは、今回の結果と周囲の変化を選手自身がどう受け止めたのか、というところ。今の彼らの心境は、間違いなく“これからの4年間”に表れてきます。

飛躍するのか、消えていくのか。

一生日本代表を応援する者として、“これからの4年間”が楽しみになってきました。
 

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