2014年5月11日日曜日

関東でバイク盗難事件 相次ぐ

関東圏におけるバイク盗難被害の拡大について、昨日、朝日新聞と読売新聞それぞれがニュースを掲載しておりました。産經新聞や毎日新聞には出ておりません でしたが、掲載した両紙には具体的な内容が多かったことから、被害が増大している傾向と見て、オーナーへの警戒を呼びかける意味で神奈川県警が発表に踏み 切ったのでしょう。正直、ちょっと腰が重い感が否めませんが、こうして大手メディアから配信されるのは大切なことです。

 それぞれ書き方は異なりますが、2014年1月から現在にかけ、神奈川県内だけで67台もの大排気量バイクの盗難が発生しており、うち半数近くがハーレー ダビッドソンだと言います。以前までメーカー問わずな印象がありましたが、改めて“ハーレーダビッドソンを中心に狙われている”と警察側から発表されたこ の一報。これ、あくまで神奈川県警の発表で、神奈川以外の地域(東京都内など)でも多発していることをお知らせいたします。

素人の犯行ではありません、間違いなく訓練された窃盗グループによる犯行でしょう。考えてもみてください、出来心で大型バイクを盗もうって発想、普通は出 てきませんよね。たとえカワサキ W650やホンダ NC700X、ハーレーダビッドソンで言えば883ccのスポーツスターなど大排気量のなかでも軽量なクラスのモデルであっても、路駐しているからって 「よし、持ち去ってやろう」と衝動的に思う人は皆無だと思います。

また、深夜の自宅ガレージから盗まれたという事例からも、計画的な犯行に他なりません。オーナーの行動パターンや保管状況(防犯レベルのチェック)などさまざまな項目についてリサーチをし、そのうえでゴーサインが出て、犯行に及んでいるのです。

ハーレーダビッドソンというメーカー名が記事タイトルに書かれているのは、いわゆる“引き”として分かりやすいから、というのもあるでしょうけど、ここ 10年ほどでオーナー数が増えたこともあり、それに比例して被害が拡大したから。実際、ハーレーは車体そのものはもちろん、バラしてパーツにすれば、海外 はもちろんオークションなどでも高く売れますからね。

一方で、こうした記事が出たことで「これで警察が動いてくれる。俺のバイクはもう安心だ」と思ったら大間違い。この記事の狙いは、現オーナーへの注意喚起が目的で、 もちろん捜査はしていますが、大型バイクを所有しているオーナー宅すべてに警察が張り込んで24時間監視体制をとってくれるわけではありません。今後につ いても、捜査と同時進行で、被害が起こってからの事後対応を進めていかれるのみです。イヤなことを言うようで申し訳ないですが、仮にこのあと盗難被害に遭 われたからといって、「警察は動いてくれているんじゃないのか!」と怒ったところで愛車が帰ってくる保証にはなりません。

“被害に遭ってから”ではなく“遭う前に”。

窃盗グループの手口は訓練されたものですので、一般人では対応しきれないところがあります。ただ、日本における大型バイクオーナーの保管&防犯状 況が緩いこともまた事実。対策が緩ければ緩いほど、窃盗グループは笑顔を浮かべて近づいてきます。逆に「ちょっ、それやり過ぎじゃないの?」というぐらい やっているところからは、窃盗グループの足が遠のいていきます。

・ 路駐はしない
・ 可能ならばシャッター付きガレージに
・ 防犯ロックは3つ以上(それもすべてメーカー別で)
・ バイクカバーはかけること
・ アラーム系防犯装置を取り入れる
・ 人が近づくと明かりが着く装置を取り付ける


ここまでやっておきたい、というのが本音です。以前、ここまでやっていた神奈川のハーレーオーナーの方が“盗難未遂”で済んだことがありました。解体まで 時間がかかりすぎたのでしょう、結局、窃盗グループは途中であきらめてしまったんです。未遂とはいえ、そうした窃盗グループが実際に手を伸ばしてきたこと に恐怖を覚えつつも、結果的に愛車が守れたのであればOK。ちなみに某ショップ代表はじめ、多くの識者が言う最強の防犯装置は“犬”。確かに、犬は普段と は違う気配を感じると、敏感に反応します。それだけで「何かおかしいんだな」と主人も気付けるのです。よく躾けられた犬は、確かに最強の防犯装置とも言え るでしょう。


上記の項目に加え、日頃のパターンに変化を入れてみるのも効果的です。普段やらないようなこと……寝る前にバイクの様子を見に行くとか、テレビを点けっぱなしにしておくとか。予想外の行動は、それだけで連中の警戒心を高めることにつながります。

上記の項目で、「そんなこと言ったって、シャッター付きガレージなんか置けねぇよ」という声もあるでしょう。住環境によっていかんともし難い点があるのはごもっとも。

ただし、覚えておいていただきたいです。
愛車を路駐するというのは、何百万円もする大金を外に放り出していることでもある、と。

あと……いじわるを承知で言いますが、こうした大手メディアの報道を受け、バイク雑誌をはじめとする二輪メディアがどんな動きを見せるか、注視してみてください。こうした啓蒙活動は、本来二輪業界にいるメディアが率先して動かねばなりません。このニュースは、それぞれのメディアがバイク 盗難というライダーにとって死活問題とも言える事例に対してどんなスタンスで臨もうとしているか、またメディアという自身の職務に対してどんな責任感を抱 いているかを推し量る物差しになるでしょう。

こんないじわるな言い方をするのも、僕自身が今なおその世界に身を置いており、かつてバイク盗難情報局というサイトを担当していた経験を持つ身だから、で もあります。そのサイトに情報提供をしてくれていたバイク盗難防止につとめる方より、こんな話を聞いたことがありました。

「バイク盗難事件が多発していた数年前、バイク誌それぞれに“こうした事件を取り上げてくれ”と持ちかけたことがあった。でも、一部を除いた多くの雑誌がまったく取り上げてくれなかった。ある有名誌の編集長なんかは“ウチは楽しいバイク情報しか載せないから”と言って電話を切ったんだよ」

最近、バイク雑誌が売れない、バイク雑誌がつまらないという声をそこかしこで耳にします。インターネットという情報ツールの出現を機に時代の流れが大きく 変わったから……と言えば聞こえはいいですが、正直言えばそれだけとも思いませんし、変わったならその時流に合わせて変化するのもメディアだと思います。


今回のバイク盗難事件の多発を機に、いろいろなものが見えてくると思います。そこは皆さんの目で見て、皆さん自身が判断してみてください。 

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