2014年5月13日火曜日

ハーレーのタイヤ

先日、我が愛車 ハーレーダビッドソン XL1200Rのリアタイヤにスリップサインが出ていたため、交換してきました。前回はリアタイヤのみの交換でしたが、フロントもややへつれてきており、 良い機会だから別ブランドのタイヤにしよう、ということで、前後とも交換することに。

HARLEY-DAVIDSON 2008 XL1200R Sportster

現在のスタイルは、前後ともアップさせたストリートレーサー風カスタムですが、この前は“ストリートドラッガー”というテーマでのドラッグレーサー風スタイルにしていました。

2010 ver

いわゆる“今風”なローダウンスタイルですが、より攻撃的な感じですね。このスタイルにフルカスタムしたのが2010年なので、ちょうど4年前になりますか。大阪のトランプサイクルと いうショップのビルダー 長岡 守さんにお願いした次第。まぁフルカスタムの話については改めてさせていただくとし、今回はタイヤの話。このストリートドラッガー風に仕上げても らったとき以来、タイヤはずっとダンロップ K300GPというモデルを履いてきました。

理由はカンタン、スポーツスターモデルに適合するなかで、もっともグリップ性が高いから。カスタムした際、長岡さんより「ダンロップのK300GPと、AVON(エイボン)のどっちがいいですか?」と聞かれ、「どう違うんですか」と伺ったところ、「K300GPはグリップがバツグンにいい。AVONは カッコいい。その違い」とのこと。せっかく“乗って楽しめるスタイル”にカスタムされたのだから、性能はめいっぱい引き出してやりたい。迷わずK300GPをお願いしたのです。

乗り味は、劇的に変わりました。

それまでは、走行距離が2万キロを超えてもスリップサインがでないというハーレーダビッドソン 純正タイヤを履きっぱなしでした(普通なら2万キロももちません)。そこから一気に最上級のグリップ性能を持つタイヤに換えたのだから、効果が出て当たり前。もちろん、このカスタムプロジェクトにおいて前後ともローダウンというメニューが組み込まれており、リアショックはもちろんフロントフォークもオーバーホールかましたわけです。ええ、このトランプサイクルというショップ、レーサー作れちゃうところなので、オーバーホールしてもらった日にゃあ足まわり の性能がグン!と向上するわけです。これらと合わせ、ドラッグバー&ストレートライザーという特殊な組み合わせながら、走行性能が格段にアップしたのは当然とも言えます。

あえて当たり前の話ではありますが、2万キロを超えてもスリップサインが出ない=極めてハード(硬い)な仕様のタイヤということで、硬いということ=グリップしづらいわけです。逆にグリップ性能に秀でたタイヤはライフ(タイヤの持ちを表す用語)が短いとされます。このダンロップ K300GPのライフは、5000~6000キロほどでした。グリップ性能の高さで同じく知られるブリヂストン BT-45Vもだいたい6000キロと言います。グリップに秀でている一方、ライフが短いということは交換時期が早い、つまりお財布に優しくないわけです。タイヤは消耗品、バイクと地面をつなぐ重要な部位ではありますが、できればオーナーの経済状況も鑑みてほしいところ。ここはなかなか悩ましいところで しょう。

ハーレーオーナーの方々は、こうしたタイヤ云々の話にはあまり興味を示さない、と聞きます。私自身、ハーレーダビッドソン専門サイトの担当をしていたときも、こうした話題のアクセスの順位は下から数えた方が早かったほど(笑)。話題にあがる際、要点とされるのは「ハーレーダビッドソンのロゴが入っているか否か(純正タイヤですね)または「価格」でした。性能云々は度外視。その昔、リアサスペンションの特集を組んだときも、こんな感じの風潮でした。

理由は至極カンタン、ハーレーダビッドソンに乗り味を求めていないから。見た目、雰囲気、ファッションの延長線上、シャネルのバッグを持ち 歩くようなもの……そう、巷ではボロカスに言われているのをご存知の方もいることでしょう。ハーレーダビッドソンは、モーターサイクルというよりはハー レーダビッドソン、モーターサイクルではなくハーレーダビッドソン。そんな風に揶揄されます。

乗り味を求めていないのは、「ハーレーの乗り味なんてこんなもん」と、乗り心地が悪いことを前提に受け入れているから。ええ、確かに悪いですとも(笑)。ノーマルの状態の前後サスなんて「棒?」って聞きたくなるときがありますし、ソフテイルフレームも元々はリアショックという概念がないリジッドフレームが現代版に生まれ変わったもので、良くできているなぁと感心するものの、他メーカーのバイクと比べると雲泥の差。

そう、快適な乗り心地を求めるモーターサイクルとなると、ハーレーダビッドソンの姿にはならないのです。アメリカという国のカルチャーから生まれたモーターサイクルは、日本はもとよりドイツやイタリア、イギリスとも異なるスタイルでまとまっており、途絶えることなく110年歴史が続いてきたのです。来年、ハーレーダビッドソンがスーパースポーツモデルを作ってきたらみんな仰天するでしょう(笑)。10年後、またはその先ではわかりませんが、少なくとも今のハーレーダビッドソンの流れからすると、そうした激変はまずあり得ないでしょう。「ハーレーダビッドソンはアメリカの魂だ」と、スティーブン・タイラー(『エアロスミス』のヴォーカル)が言っていましたが、確かにアメリカのカルチャーを表している存在だと思います。

閑話休題。

いろいろと酷評されるハーレーダビッドソンですが、それでも他メーカーと変わらぬモーターサイクルとしての地位を築いておりますし、多くの人から愛され続けています。それに、きちんと乗ってやればライディングプレジャーを十分感じられる面白いモデルがたくさんあるのです。だからこそ、タイヤ選びって大事だ と思います。

正直、新車時の純正ノーマルタイヤは……ちょっとあり得ないです。雨の日、マンホールはもちろんのこと、交差点などの白いラインでタイヤが滑ってしまうほどグリップ力ゼロ。いずれもパワフルなエンジンを積んでおり、リアにかかる馬力がハンパないから、レインスリップしたらそのままお尻ごと持っていかれます。でも、こうした極端なシチュエーションでも、タイヤの選び方次第でトラブルを消し去ってしまうことだってできるんです。

ダンロップ K300GPやブリヂストン BT-45Vなどの性能は申し分ないですが、ライフの短さを考えると、「お金をかけてでも走りを楽しみたい」という人向けのモデルと言えるでしょう。個人的には、ちょうどスポーツスター&ビッグツインモデルともにバランスよく遊ばせてくれるのは、ミシュラン コマンダーⅡですかね。実際に特集記事として取材したことがあるのですが、先代コマンダーの評判がすこぶる良く、2代目もその良さをきちんと受け継いでいるとのこと。

……なんて偉そうにタイヤの講釈をしている私ですが、両極端な性能は知っているものの、ブランド別で履き比べたことがないので、あまり参考にはしないでください。


ちなみに今回履き替えたタイヤは、AVON コブラ。リア幅130ミリで、きちんと走れるモードで選びました。最上級モデルからの変更なので、グリップ力は落ちるでしょうが、性能&ライフとも自分なりにチェックしていきたいと思います。

ひとつだけ言わせてもらえば……交換した直後に気付いたのですが、タイヤのサイドウォールにコブラのイラストが描かれていてカッコいいことですね(笑)。ちなみにお値段は、K300GPよりも……でした。 

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