2014年5月14日水曜日

VICTORY JUDGE

先日、アメリカンホイールジャンキーのためのフリーマガジン オンザロードマガジンの撮影にて、新しいアメリカンモーターサイクル VICTORY(ヴィクトリー)のJUDGE(ジャッジ)に試乗してきました。

VICTORY JUDGE

ハーレーダビッドソンやインディアンなど、古くから存在するメーカーと違い、このヴィクトリーはまったく新しいアメリカのモーターサイクルメー カー。正直なところ、バイク乗りの方でもあまり馴染みのないメーカー名かと思いますが、先の大阪・東京モーターサイクルショーにて、インディアンなどとともにブース出展しており、巷で注目を集めつつあります。

今回は昨日登録が完了したばかりというおろしたての試乗車をお借りしての撮影だったのですが、ファットタイヤを履いた前後16インチというスタイルに容量17.8リットルのフューエルタンク、ワイドなハンドル、そしてフォワードコントロールと、さまざまなハーレーダビッドソンのモデルに乗ってきた身としては、決して珍しいものではありませんでした。酷似するモデルとしては、近年登場したFLS ソフテイルスリムでしょう。いわゆる昔ながらのFLスタイルで、しかしながらその足まわりやハンドリングは軽快な取り回しを生み出し、「え? これがソフテイル?」と思わされるコントロールを味わわせてくれます。

このジャッジというモーターサイクルも、ソフテイルスリム同様にスポーティなノリ味を楽しませてくれました。もちろん、国産系や他海外メーカー系のスポーツorネイキッドと比べるべくもないですが、クルーザーをベースにしながらこの軽快さは乗っていて実に楽しいですし、日本人はこういう点を重視しますからね。
 
注目していただきたいのはココ、リアタイヤのサイズ。ハーレーのビッグツイン系や現代のスーパースポーツなどはますますワイド化していますが、 このジャッジのリアタイヤの幅は140ミリ。ハーレーダビッドソンのスポーツスターモデルはすべて150ミリのタイヤを履いているので(後のタイヤ交換で 130ミリにすることが可)、最近のビッグバイクの傾向とは異なる趣きを持ち合わせているわけです。

リアタイヤが細いということは、コーナリングの際、車体を寝かせ込みやすくなります。モーターサイクルは曲がる際、ハンドルではなく車体を倒し 込んで曲がっていきます。そういう意味でリアが細いというのはコントロールするうえでもメリットが多いですし、かつてリアタイヤが細かった昔のモーターサ イクル……ヴィンテージモデルへのオマージュとも言えるでしょう。
 
 
もちろん、リアが細ければそれで良いというわけではありません。フレーム剛性、ホイールベースなどさまざまな部位が組み合わさった構造ありき。 このFLスタイルはアメリカが生んだ絶妙なバランスの仕様なわけですが、同じ前後16インチのファットタイヤというXL1200X フォーティーエイトは、FLS ソフテイルスリムとは違いかなりクセのある乗り味です。決して乗りにくくはないですが、いわゆる応用編モデルなだけに、基本的な仕様(現行ラインナップからは姿を消したXL883など)を知ったうえで乗ってみるのがベストだとは思います。

話をジャッジに戻しましょう。個人的に気になったのは、ハンドルとステップ位置。ワイドハンドルはアリなのですが、いかんせん位置が遠い。身長174センチの僕でも「遠いな」と感じたほど。ここはやはり、“アメリカ人のためのバイク”ということなのでしょう。フォワードコントロールというステッ プ位置も同様。FXDWG ワイドグライドほど突き出てはいないのですが、やはりミッドコントロールぐらいの位置が車体をコントロールするのにちょうど良いと思います。

面白かったのは、ディテールですね。スイッチボックスやトリプルツリー、ウインカーなどのデザインが、アメリカンクルーザーとしては考えられないモダン化しているのです。一見すると、「なんでこんなデザインになるんだ?」という違和感しか残りませんが、よくよく見てみると、デザインというよりは剛性を意識したつくりなんですね。

そう、これらディテールは、いわゆるスーパースポーツ系バイクといった最新のモーターサイクルに取り入れられている仕様のようです。そうする と、この巨体ながら「スポーティな乗り味を楽しんで欲しい」というヴィクトリー モーターサイクルの狙いが垣間見えるよう。ヴィクトリーならではのスポーツクルーザー、そういうことなのでしょう。


今のところ、直営店はヴィクトリー東京(世田谷区)とヴィクトリー名古屋だけなので、なかなか試乗する機会には恵まれないかもしれないですが、興味がある方は一度試してみてください。こういうクルーザーの定義もあるんだな、という発見につながることでしょう。

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