2014年5月12日月曜日

バイク駐輪場に防犯機能なし

最近Facebookなどを見ていると、関東圏内でのバイク盗難情報が行き交っているのに気付きます。しかも、ちょっと件数が増えつつある感じです。今なお関係者が動いていらっしゃるようですが、いくら公的機関が動こうとも、事前に防止するのは極めて困難と言えます。

私が以前担当していたバイク盗難情報局というブログサイトでは、数年前だと多いときで一日5~6件の情報が寄せられることが頻繁にありました。そのほとんどがハーレーダビッドソンなどの海外メーカー系モーターサイクルだったので、それが5~6台となると、1000万円以上の被害額になるわけです。バイクは実用性のものではなく趣味性だからと、盗難事件においても軽く見られがちですが、れっきとした組織犯罪ですし、この被害額を見れば尋常ならざるものであることがご理解いただけるかと思います。

実益という点から、あらゆる面で軽視されがちなモーターサイクルですが、こうした事件におけるメンタルダメージは計り知れないものがあります。僕自身が盗 難被害に遭ったことはありませんが、実際にバイク盗難に関する活動を行っている方々(いずれも被害者)からリアルな被害体験を聞いていますし、FLSTF ファットボーイを盗まれたスポーツカメラマンが知り合いにいるので、いずれの話も「明日は我が身」という恐ろしさを秘めており、もはや他人事としては聞け なくなりました。最大の問題点は、盗難被害に遭った被害者の“心の傷のケア”ですが、それはまたの機会にするとして、今回はバイク専用駐輪場の防犯機能について述べたいと思います。

実際、僕は都内のとある場所に赴く際、よほどのことがない限り自分のバイクでは出掛けません。バイクで赴く際は、ディーラーやカスタムショップなど取材名目で、それも確約された保管場所と信頼できる人の目があるところのみ。見知らぬ場所、初めての場所にはまず乗っていきません。

路駐など論外中の論外ですが、バイク専用駐輪場は、それと同じレベルで信用していません。たとえ監視員がいるとしても、です。なぜならば、バイク専用駐輪場ほど狙われやすい場所はないから。防犯性? ゼロと言っても過言ではないでしょう。

バイク専用駐輪場では、駐車確保のためのチェーンロックが施されるところが多数存在します。ただ、あれを「防犯用」と思ってはいけません。あのロックは、利用者が無賃で持ち出さないよう“利用者の現物を縛っておくためのもの”であって、みなさんの愛車を守るためのものではありません。端的に言えば、利用料金さえ支払えば、誰だってロック解除できてしまうんです。考えてみてください、あのロックを利用する際、別にオーナーと車両の照会なんてしているわけがありませんし、それをやろうと思うともっと高機能の機械を導入せねばなりません。そう、極端な話、数百円を投入するだけで、数百万円のバイクが手に入ってしまうという恐ろしい状況なのです。

「じゃあ監視員がいるところなら大丈夫だろう」と思われる人がいるでしょうが、それだって不確か極まりないもの。バイクを駐車して出るときに顔と名前を確認しているわけじゃありませんし、まったく見知らぬ人がその駐輪場からあなたのバイクを持ち出そうとしても、監視員がその是非について判断できるわけでは ありません。自分に置き換えてみてみましょう、友人知人のものならいざ知らず、まったく赤の他人のバイクがごっちゃに置かれている場所(例えばモーターサ イクルショーの駐車場)で、一時間見続けていたからといって、それぞれのバイクとオーナーの顔を照会できるでしょうか? 少なくとも、僕はできません。

たいていの場所では、「この駐輪場内で盗難等の被害が発生したとしても、こちらでは責任を負いかねます」という但し書きが掲げられてあります。それはつまり、監視員およびその駐輪場管理会社が「そこまでの責任は負えない」からです。しかし、多くの方が「ロックがあるから大丈夫」、「監視員がいるから安心」 という根拠なき安心感に身を委ねています。そうして、実際に盗難被害に遭われて「しまった……こんなところに置かなければよかった」と後悔されている方の声をいくつもお聞きしてきました。だから、僕は都心部のバイク専用駐輪場を信用していないのです。

バイク専用駐輪場に行けば、無防備なバイクがわんさかある。なかにはハーレーダビッドソンなど何百万円もするお宝バイクが、冗談みたいなロックひとつで置いてある。複数の防犯ロックをしていても破壊して持ち去ってしまう窃盗グループから見れば、赤子の手をひねるより容易いものでしょう。

極端な話、バイク駐輪場にバイクを置くというのは、自ら標的のなかに預けに行くようなものだと思うのです。

「専用駐輪場に置いていれば安心」というのは、ご自身が“安心したい”という理由づけが生み出した幻想にほかなりません。金額がいくらのものだろうが、どこのメーカー製であろうが、自分の大切なバイクを盗まれたくないというのは、ライダーであれば誰もが理解し合えることだと思います。

ご自宅での保管状況についても、そう。誰もが完璧な防犯措置をとれる環境にあるかと言われれば、答えはノーですが、大前提として以下の2点はご理解いただきたく思います。

1, 現在、バイク盗難事件が増えつつあること
2, ある日、自分のバイクがこつ然と姿を消している状況を想像すること


環境云々は、窃盗グループにとっては知ったこっちゃない個人の都合。“盗まれてから”では後の祭りです。被害に遭わないためには、相手(窃盗グループ)の心理を想像し、「そこまでされちゃあ、時間がかかって仕方がない。他をあたろう」と思わせる措置をとる必要があります。

愛車を守るのは、オーナー自身です。

改めて、被害に遭わないための措置についてご再考いただければと思います。
 

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